🐾猫の舌は「天然ブラシ」！毛づくろい専用の構造だった

猫が毛づくろいをしている姿は、見ているだけで癒されますよね。
ペロペロと丁寧に毛をなめて、いつもキレイな毛並みを保っている――。
でも、あの舌の「ザラザラ感」に触れたことがある人なら、
「なんでこんなに硬いの？」と不思議に思ったことがあるはずです。

実は猫の舌は、**ただの舌ではなく“天然のブラシ”**なんです。
今回は、猫の舌の構造と毛づくろいの驚くべきメカニズムを詳しく紹介します。

🐱猫の舌がザラザラしている理由

猫の舌の表面には、**数百本の「舌乳頭（ぜつにゅうとう）」**と呼ばれるトゲ状の突起が並んでいます。
これらの突起は硬いケラチンというたんぱく質でできており、
同じ成分が人間の爪や髪にも含まれています。

この舌乳頭はすべて後ろ向きにカーブしており、
毛づくろいのときに毛の流れに沿ってなめることで、
まるでブラシのように汚れや抜け毛をキャッチします。

💡逆になでてみると“ヤスリ”のようにザラザラするのは、この突起の向きによるものなんです。

ジョージア工科大学の研究チームによる分析によると、
猫の舌の突起（舌乳頭）は、小さな“フック”のような形をしており、
毛の奥まで入り込むように設計されています。

このフックの先端にはわずかな空洞があり、
そこに唾液がたまって、毛の根元まで運ばれる仕組みになっています。

つまり猫は、舌を使って毛の奥まで掃除と保湿を同時に行っているのです。

🧠人間のブラシやコームよりも効率的な“毛づくろい装置”といえるでしょう。

毛づくろい（グルーミング）は、見た目を整える以外にもさまざまな意味があります。

唾液を毛に塗り広げることで、体の熱を外に逃がす効果があります。
夏場に長く毛づくろいをしているのは、体を冷やしているためでもあります。

猫にとって毛づくろいは「リラックス行動」。
不安や緊張を感じたときに毛づくろいをすることで、気持ちを落ち着かせています。
（この行動を“転位行動”と呼びます。）

外の匂いや飼い主の手の匂いを消し、自分の匂いに戻す行動でもあります。
猫は「自分の匂い＝安心」と感じるため、毛づくろいで心を安定させているのです。

猫が他の猫をなめる行動を「アログルーミング」と呼びます。
これは、仲間への愛情表現や信頼の証でもあります。

猫が飼い主の手や顔をペロッとなめるのも、
「自分の仲間」「家族」としてお手入れしているつもりなのです。

💞つまり、猫があなたをなめるのは“好きだから”なんです。

グルーミングは猫にとって大切な行動ですが、
過剰に毛づくろいをする場合は注意が必要です。

以下のような様子が見られたら、ストレスや病気のサインかもしれません。

このような場合は、動物病院で相談しましょう。
特に環境の変化（引っ越し・来客・新しいペット）などがあると、
ストレスによる過剰グルーミングが起きやすくなります。

猫は自分で毛づくろいをしますが、長毛種や高齢の猫はうまく届かない場所があります。
そんなときは、飼い主の手でサポートしてあげましょう。

猫の舌の動きを再現するように、毛の流れに沿って優しくブラッシングします。
特に換毛期（春・秋）は、毎日のブラシが毛玉防止になります。

毛づくろいで飲み込んだ毛を排出するために、
「ヘアボール対策フード」や「ラキサトーン（毛玉除去ジェル）」なども効果的です。

ブラッシング中に声をかけたり撫でたりすると、
猫は舌での毛づくろいと同じようにリラックスします。

🐾飼い主が“代わりの舌”になってあげるつもりでお手入れしてあげましょう。

猫の舌は、
✔️ 後ろ向きの突起構造で毛の奥まで届く
✔️ 唾液を毛に運び、汚れを落とす
✔️ 体温調整・ストレス解消・愛情表現の役割もある

まさに、“小さな掃除機＋マッサージ機＋クーラー”のような万能器官です。

毛づくろいは猫の健康と心のバランスを保つ大切な行動。
舌の仕組みを知ることで、あなたの愛猫をもっと深く理解できるはずです。

今度猫が毛づくろいしているときは、
その舌の動きに注目してみてください――
そこには「生きる知恵」と「美しさを保つ秘密」が詰まっています🐈‍⬛✨